期待の16歳、鈴木昂がワイルドカードで全日本に初登場してきた。左腕からの直線的なフォアハンドを武器とする天才的なテニスで、すでにATPポイントも獲得している。相手は、予選を圧勝して上がってきた佐藤文平。インカレを昨年優勝し、今年も準優勝の実力者だ。鈴木がこの大会でどこまで通じるか、その実力を計る意味でも注目の1回戦となった。
上から叩く鈴木と、オールラウンドに組み立ててしのぐ佐藤。第1セットは、佐藤の圧倒的なボールの深さに、鈴木の切れ味は空回り。「何もしないで」佐藤が6−1で先取した。第2セットは鈴木がやや抑えたフォアハンドで佐藤を左右に振り回す。佐藤もボールの深さにかげりが見え、鈴木のフォアハンドウイナーが増えてくる。鈴木の4−3リードから佐藤のアンフォーストエラーが続き、鈴木が第2セットを6−3で奪い返した。
ファイナルセット、鈴木は1−0、40−0からのサーブをダブルフォールトとフォアハンドのミス4本で落としてしまう。佐藤はここを勝機と見て積極的な攻めを見せ、逆に4−2とリード。しかし佐藤も勝ちを急ぎ、ミスの連続でサービスダウンし4−4。もつれた展開の最後は、5−4から鈴木がサービスキープをあせってラリーに根負けし、あっさりゲームセット。
「相手の実績はすごい。しかし学生代表として泥臭いテニスを見せたかった」と語った佐藤。学生代表の誇りがかろうじて天才ジュニアを振り切った形となったが、16歳にして大学レベルを超えつつある鈴木の今後に期待したい。
倉沢 鉄也