女子はベスト8、男子はベスト16が出そろった。この中で過去に全日本のタイトルを獲得しているのは女子1人、男子4人。女子では歴代優勝者の藤原里華(北日本物産)と森田あゆみ(キヤノン)が3回戦で当たるという厳しいドロー。男子でも第1シードの鈴木貴男(高木工業)が吉備雄也(早稲田大学)にファイナルセット4ー5まで追いつめられる厳しい戦いを余儀なくされている。
テニス選手が敗戦を語るとき「今日は自分のテニスができなかった」というコメントをよく耳にする。言外には「自分のテニスさえできれば結果は違った……」というニュアンスを含むのだろうが、それは違うと思う。「自分のテニスができなかった」ということは、裏を返せば「相手が自分のテニスをさせてくれなかった」ということであり、相手が自分を上回っていたということに他ならない。
その点、「相手のことより、自分のテニスに徹して戦っている」と言いながら、2回戦で高雄恵利加(北日本物産)、3回戦で米村知子(角辻医院)を下し、ベスト8まで勝ち上がってきた15歳の奈良くるみ(大阪産業大学附属高校)は強い! 相手が誰であっても自分のテニスができるということは、相手に自分のテニスを崩されていないということ。同じブロックの第2シード森上亜希子(ミキハウス)がいなくなったこともあり、ますます奈良の存在が大きくなってきた。
準々決勝の相手は波形純理(北日本物産)。奈良にとって相手の名前、実績は関係ないかもしれないが、経験豊富な波形は、高雄でもなく、米村ではなく、15歳の高校生が勝ち上がってきたのはチャンスと思っているはず。プレッシャーを感じることなく自分のテニスができるのはどちらの選手だろうか?
男子8対戦のうち、6試合がシード同士の戦いとなった。鈴木貴男(高木工業)は「試合としては2試合目、シード同士の対戦となる3回戦が恐い」と言っていたが、観戦する側にとってみれば「恐い」=「面白い」に他ならない。3回戦で、とくに興味深いのは鈴木対岩見亮(北日本物産)、杉田祐一(三菱電機)対松井俊英(ミキプルーン)、伊藤竜馬(三和ホームサービス)対杉山記一(橋本総業)の3対戦。どの試合もコクのある一戦になることは間違いないが、もっと別方面の味わいを感じたい方は、ぜひ茶圓鉄也(ミキプルーン)対權伍喜(ミキプルーン)のコートに!
フリーライター 井山 夏生