「できる」ということは再現性だ。何回やっても同じようにできる。それがプレーのベースとなって、さらにできないことができるようにトレーニングする。それを積み重ねると、できないことがどんどん少なくなって、プレーが完成していく。
ところが何らかの要因によって、それまでできていたことができなくなってしまう場合がある。それが今日敗れた本村剛一(北日本物産)であり、杉田祐一(三菱電機)ではないか。十分に構えて打ったボールがサイドラインを割り、ベースラインを飛び越してしまう。天を仰ぐ本村、そして杉田。「何で?」という叫びが聞こえてきそうだった。
男子のベスト8と女子のベスト4が出そろった。この顔ぶれで、ここまで勝ち上がってきたということは、選手たちは「できている」ということだろう。しかし、ここからは「できる」ことばかりでなく、100%の確信の持てないショットへのチャレンジも必要となる。
注目は鈴木貴男(高木工業)と寺地貴弘(旅ポケドットコム)の一戦。過去に2度ずつ全日本のタイトルを獲得している2人が準々決勝で顔を合わせることとなった。しかも、全日本では初対決。ツアーでも、01年の京都チャレンジャーで一度対戦しただけ(鈴木の6-0,6-7,6-1)。鈴木が「楽しみな戦い」と言えば、寺地は「いろんなことをやってみたい」。2人とも“テニス頭”がとても良い選手。自分ができることと相手ができないことを秤にかけながら、その上で、一か八かのショットでチャレンジする場面が随所に見られるはず。この一戦は見逃せない。
中村藍子(ニッケ)が順当にベスト4まで勝ち上がった。04年、06年と決勝で涙を飲んでいる中村。「今年こそは!」の思いは強いことだろう。その中村と対戦するのが、手首のケガで約1年を棒に振った01年の覇者、藤原里華(北日本物産)。今の力からすれば中村が上なのは明白だが、気分的に楽なのは藤原のほう。2セットで決まれば中村。ファイナルセットに入って神経質な戦いになれば藤原と予想しておこう(恐いな〜)。
フリーライター 井山 夏生