強い陽射しが差し込むセンターコート。男子シングルス決勝は、第1シードの鈴木貴男(高木工業)が第11シードの權伍喜(ミキプルーン)を相手に横綱相撲を展開。曲者の相手を寄せつけず、1時間10分でゲームセット。10年ぶり3度目の栄冠に輝いた。
鈴木は第1ゲームでいきなりサービスブレーク。「開始直後から気迫を前面に押し出し、相手にペースを握らせないことを考えていた」という鈴木が、早くも主導権を握る。スライス中心のゆっくりしたペースのラリーと緩急で、ここまで勝ち上がってきた權だが、鈴木のサーブ&ボレー、リターン&ネット中心の速い組み立てについていけない。第1セットは2ブレークの6−2で鈴木があっさり先取した。
「相手は自分より格上だし、失うものはないので思い切っていこうと考えていたが、決勝という舞台はやはり緊張した。相手のセカンドサーブを叩けばチャンスはあると思っていたが、実際は思っていたより速かった。相手のリターンもよかったので、逆に自分のサーブにプレッシャーがかかった」と權。得意とするバックハンドスライスでペースを作れないため、サーブとネットプレーに勝機を見出そうとしたが、これも実を結ばない。第2セット第3ゲーム、2本のダブルフォールトでサーブを落とすと、その後も挽回できず、ゲームセット。權は「相手が強すぎた」と脱帽した。
結果を期待される第1シードだが「いいプレーさえすれば結果はおのずとついてくるだろうという思いで今日まで戦ってきた」と鈴木。31歳での優勝についても「年齢は関係ない。10年前の自分とやっても今の僕の方が強いと思う」と胸を張った。自分自身のことだけでなく、若い選手たちに向けて「プレッシャーのある全日本。その中でも、それぞれ自分のスタイルで良いプレーをして、世界で戦える力を見せてほしい。それが自分のレベルを上げることであり、それぞれの選手がやるべきことだと思う」とメッセージを送った。常に日本テニス界を牽引する男が、圧倒的な存在感を示し、手にした優勝だった。
広報委員・フリーライター 成瀬 悦朗