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【11月8日 大会最終日】
男子シングルス決勝は、第2シードの内山靖崇(北日本物産)が7-6(6)、6-4のストレートで第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)を破り、初優勝を飾った。内山はタイブレークで4本あった相手セットポイントをしのいで第1セットを先取すると、第2セットでは追いつかれた直後の第9ゲームで、この試合2度目のブレークを果たし、そのまま逃げ切った。23歳の内山は、出場6大会目で初めての決勝だった。2連覇した09年大会以来の出場だった添田のシングルス連勝は「14」で止まった。
男子ダブルス決勝では、主催者推薦で出場した綿貫裕介(橋本総業)/綿貫陽介(グローバルテニスアカデミー)の兄弟ペアが、第8シードの佐野紘一(伊予銀行)/小ノ澤新(イカイ)組にストレート勝ち。女子ダブルス決勝は、第3シードの久見香奈恵(橋本総業)/高畑寿弥(橋本総業)組が第4シードの井上明里(レスポートサックジャパン)/宮村美紀(フリー)組をフルセットで振り切った。綿貫兄弟ペア、久見/高畑組はともに初優勝。男子ダブルスを兄弟ペアが制したのは、1956年の加茂礼仁/加茂公成組以来のこと。
○内山靖崇(北日本物産) 7-6(6),6-4 ●添田豪(GODAIテニスカレッジ)
■このときを心待ちにしていた。内山にとって、添田と全日本の決勝で顔を合わせることは特別な意味を持っていた。札幌市立福住小6年生のときに観戦した全日本で、添田のプレーに憧れを抱いてから11年。その選手との日本一の座を懸けた対戦に勝ち、「大先輩だし、常に目標にしていた選手。添田選手に勝っての優勝はまた格別」と感慨に浸った。
■2人が初めてボールを打ち合ったのは、ジュニアナショナルチームに入った17歳の頃だったという。「まったく歯が立たないというか、練習にもならないくらいだった」と記憶している。内山は2013年からデ杯代表に選ばれ、今は同じナショナルチームのメンバーとして添田と共に練習することも多い。だが、直接対決はこれまでチャレンジャー大会での4度だけで、ことし7月のグランビー(カナダ)で内山は初めて勝っていた。
■この日は、全日本の決勝の雰囲気に飲まれることなく、立ち上がりから双方が持ち味を出した。内山が高速サーブとフォアハンドで観客をどよめかせれば、添田は早いテンポのストロークで内山を左右に振り回し、うならせる。バックハンドの展開力で上回っていた添田がラリーの主導権を握り、内山が必死に食らいつくという構図でサービスキープが続いていた。23歳は5-4の第10ゲームで3度のセットポイントを逃し、タイブレークにもつれこんだ。ミスが続いて2-6と追い込まれたが、「目の前の1ポイントに集中していた。改めて1ポイントの大事さを感じた」と内山。ラリーでの粘りと、ダブルフォールトを犯すなど相手の心の乱れも生かし、6ポイント連取の逆転で第1セットをものにした。
■第2セットに入ると、スライスを交えて体勢を立て直したり、押し込んでからドロップショットでポイントを奪うなど、落ち着いて内山がラリー戦を制する場面も増えてきた。ことしからスペインに拠点を移し、「その成果が出ていたのは間違いない。ラリー戦でのしぶとさ、強さというのを学べた部分は今日の試合で出せた」。第8ゲームでブレークバックされて4-4となっても、「添田選手のリターンとストロークを考えると、そこまでブレークされていなかったのが不思議。何も焦ることなく、プレーできた」と言う。続く第9ゲームの最後はグッとタメをつくって、冷静にバックハンドのトップスピンロブで仕留め、ブレークに成功した。
■1時間44分の濃密な戦いを制し、先月日本テニス協会名誉総裁に就任した眞子内親王殿下から天皇杯を授与された。6度目の挑戦での全日本チャンピオンの称号には「実感が沸かない」と繰り返したが、添田を破ったことで「確実に階段をのぼれている」と自らの成長は実感した。スタンドのファンを前に、世界ランキング227位は「目標はグランドスラム(大会)で活躍すること。この優勝をきっかけにもっと世界で活躍したい」と、さらに階段をのぼると誓った。
【6年ぶりの全日本が準優勝で終わった添田豪のコメント】
「悔しいが、決勝も自分の中ではいいパフォーマンスを出せた。やり切ったというか、すがすがしい感じ。(第1セットのタイブレークで)6-2のところでもう一回ギアを上げないといけなかった。緊張感の中で勝ち抜いたことは、このあとのチャレンジャー(大会)にもつながる。全日本は周りがどう言おうと日本一を決める大会。選手はなるべく出てほしいというか、日本一を決める大会にしたい。直前まで迷ったが、出て正解だった」
(早川 忠宏)
○綿貫裕介(橋本総業)/綿貫陽介(グローバルテニスアカデミー) 6-2,6-1 ●佐野紘一(伊予銀行)/小ノ澤新(イカイ)
■ワイルドカード(主催者推薦)をもらって出場した25歳の裕介、17歳の陽介という綿貫兄弟ペアが、ノーシードから一気に頂点に駆け上がった。第8シードとの決勝は、リターンゲームでは2人ともベースラインにとどまって、ネットにつく佐野/小ノ澤組にストローク勝負を挑み、5度サービスをブレークする圧勝だった。記者会見では、「陽介が緊張していたので、どこまでやってくれるかというのが素直な気持ちだったが、頼もしくやってくれた」と兄の裕介が言えば、弟が「年上、格上の選手としか当たらないので、プレッシャーにつぶされそうな状況だったが、最後まで思い切りできた」と陽介が応じた。
■この大会シングルスには長男の裕介、三男の陽介とともに次男の敬介も出場した。昨年の男子ダブルスには裕介と敬介が組んで出場していたが、今夏の今年の全米ジュニア男子ダブルスで陽介がベスト4に進むなど好成績を残し、急きょ、長男と三男のペアで出場することが決まった。「敬介には自粛してもらいました」と裕介が笑わせた。
■1回戦でダブルス巧者の近藤大生(イカイ)/鈴木貴男(イカイ)というベテランペアに4-6、7-6(7)、6-1と苦しみながら逆転勝ち。それ以降も内山/添田というデ杯代表ペア、仁木拓人(三菱電機)/吉備雄也(ノア・インドアステージ)という前回優勝ペアをストレートで破るなど、堂々たる勝ち上がりだった。「1回戦からタフな試合だった。相手にマッチポイントを握られながら逆転勝ちして、波に乗ることができた」と裕介。試合ではベースラインから強打するのが役割だった陽介は「打ちたいコースに打って、あとは兄貴、どうにかしてくれという感じで頼りにしていた」と兄に感謝した。
(谷 祐一)
○久見香奈恵/高畑寿弥(ともに橋本総業) 6-4,6-7(9),6-2 ●井上明里(レスポートサックジャパン)/宮村美紀(フリー)
■女子ダブルスは第3シードの久見香奈恵と高畑寿弥(ともに橋本総業)と、第4シードの井上明里(レスポートサックジャパン)と宮村美紀(フリー)の対戦となり、久見・高畑組が6-4、6-7(9)、6-2で勝って優勝した。高畑は2011年にも青山修子(近藤乳業)とのペアで優勝して以来2度目の全日本ダブルスのタイトルだが、久見は今回が初優勝だった。
【久見香奈恵のコメント】
「(初出場から)11年目でやっとの舞台。こんなに長く大会に残っていたこともないし、たくさんの観客の前でのプレーも初めて。自分が思っていた以上のパフォーマンスを出せた大会だった。ランキングも上がってきているので、WTAツアーにも2人でトライしていきたい。久見・高畑のダブルスがどこまで行けるか見ていてほしい」
【高畑寿弥のコメント】
「2011年に全日本を取って、2012年にはキャリアハイ。これからグランドスラムに、と思っていた4月に右膝十字靭帯と半月板を傷めて、9カ月間コートに立てなかっただけでなく、歩くことからの再スタートだった。(決勝では)第2セットを落としたあと、ロッカールームに着替えに戻って、叫んで、クリーンな気持ちでコートに戻った。1回戦からずっとタフな戦いで、その度にお互いのコーチと課題練習をして成長してきた。お互いの持ち味が出せてよかった」
(浅岡 隆太)